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東京新聞1985年12月5日(木)夕刊

 


「開幕ベル」

迫力ある快活なステージ ヒューイ・ルイス “言葉通り”本領示す

 「僕等の本領はステージを見てもらえば分かるよ」と、初来日の記者会見で自信たっぷり語ったヒューイ・ルイス。三日の日本武道館公演は、その言葉通り、五人のバンド「ザ・ニュース」と、五人のホーン・セクション「タワー・オブ・パワー」をバックに、迫力ある快活なステージだった。
 何しろ、今年最高に乗りまくっているロックンロール・バンド。LP「スポーツ」の世界的大ヒット、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」主題歌「パワー・オブ・ラブ」の全米チャート一位など、容器で明るいアメリカン・ロックバンドの代表選手というイメージがある。
 演奏曲目は、過去三枚のLPとビデオから「ハート・オブ・ロックンロール」「ビリーブ・イン・ラブ」「ハート&ソウル」など十七曲を、二時間たっぷり。
 リーダーのヒューイは三十五歳のベテランだが、六〇年代ロック歌手さながらにマイクをふりかざし舞台いっぱい走り回る。メンバーの演奏もエネルギッシュ。シンプルなビートを基本にした、一見ハードで厚みのあるサウンドが、ナウい感覚を出す。
 “アカペラ(無伴奏コーラス)”コーナーをもうけているのもこのバンドの特徴。「イッツ・オーライト」「バッド・イズ・バッド」の二曲をヒューイがソロをとり、メンバー五人が楽器なしでバックをつけるのだが、黒人っぽいドゥワップ調が楽しい。
 ただのロックンロールサウンドだけにとどまらず、ヒューイのハーモニカ・ソロによるブルース調の雰囲気や、ジャズ風もあったりで、全員のベテランらしい自在で伸び伸びした演奏が印象に残った。
 このあと9、10、11日夜日本武道館、8日夜NHKホール。

(晶)


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