「TWO AM CLUB」とサンフランシスコ
以前管理していたNadaiの個人サイト「一人称」の日記(2001年6月30日)から抜粋
(前略)
ブランチ(というかすでに昼食)として出してもらった奥さん手作りのマフィンとコーヒーをいただきつつ、3人で本日の計画を練った。協議の結果、「ワイナリー→ミルヴァレー→ゴールデンゲートブリッジ→サンフランシスコ市内」ということになり、旦那さんにPCでサンフランシスコ周辺とミルヴァレー付近の地図を出してもらおうとした。しかし、30ドル(!)で買ったというプリンタの調子が悪く、なぜか黒が印字されない状態になっていた。旦那さんがいろいろ設定をいじくったりドライバの確認などで20分くらい格闘していたが、結局はお手上げに。カラーの黒抜きで印刷してもらうことになった。
あと、HLN発祥の地である「アンクル・チャーリーズ」にも行きたかったので、いろいろとCAおよびシスコの検索サイトで探してみるが、ちっとも情報は出てこなかった。とりあえず今日のところはここへ行くのはあきらめ、よっちゃんさんにHLN TODAYのフォーラムに「アンクル・チャーリーズの場所ってどこ?」という書き込みをしてもらい、それで場所を探すことにした。ちなみにこのF本家のPCにはZIPが装備されていた。さすがはアメリカ。
F本家を2時頃出発。今回のBGMは、昨日つるさんが買ったデイヴ・マシューズ・バンドのCDである。このバンドの音楽を初めて聞いたが、なかなか骨太のロックでよろしい。このバンドの音楽を聞いて、同じく骨太ロックのフーティー・アンド・ザ・ブロウフィッシュを思いだした。アメリカのドライヴでこのバンドの音楽も聞いてみたかったなぁ。
アメリカ(というかカリフォルニア)の日差しはきつい。空気が乾燥しているためか、直射日光は突き刺さるような暑さを感じさせる。こんな土地に住んでいて、アメリカ人はなぜ真っ黒に日焼けしないのだろうか?と疑問に思った。よっちゃんさんにこの疑問をぶつけてみると、「やはり体が慣れているからじゃないですかね?」と言われる。そういうものか・・・。日本で真夏のドライヴをしていると右腕だけが焼ける。しかし左ハンドルのアメリカでは逆の左腕が焼ける。なんだか妙な感じがしたもんだ。
ワイナリーまでの道は今まで見たことのない景色の連続であった。緑の無いはげたような山肌、なだらかな山々の間を走るハイウェイ。こういった殺風景な景色によってアメリカをひしひしと感じた。デジカメでいろいろと景色を撮影したかったのだが、運転手の俺はハンドルから手が放せない。景色を撮影するのが好きな俺としてはかなりくやしかった。「停めてもいいですよ」とお2人から言われるが、俺のわがままのために軽快なドライヴをたびたび中断するのも申し訳ないと思ったので、目的地まで車を走らせた。ただ、ライヴでまたこの道を走った時には言葉に甘えさせてもらうつもりだ。
道も空いていて走りやすかったので、30分ほどでいろいろなワイナリーが存在する地域へとたどり着く。殺風景な山道から一転、道の両脇はブドウ畑が広がっていた。ブドウ畑の中をしばらく走るとライヴ会場のWENTE VINEYARDSが見えてきた。インターネットで見た通り、ブドウ畑のすぐ隣にはゴルフ場(グレッグ・ノーマン設計だそうだ)が。「ゴルフ好きのバンドメンバーのことだから、ひょっとして今日ラウンドしているんじゃない?」なんて事をみんなで話しつつ、ワイナリーの中へ。
よっちゃんさんに手配してもらっていたライヴのチケットは、ライヴ会場であるここでの受け渡しとなっていた。当日にごたごたするのがいやだったので、場所の下見に来た今日でももらえるかもしれないと思っていたが、なんと今日はどこかの結婚式が行われていて、「一般の方立入禁止」になっていた。となるとここにいても仕方がないので、次の目的地であるミル・ヴァレーへとむかうことになった。
郊外の自然がたくさん残っている地域からサンフランシスコ方面へ車を走らせた。途中、タワー・オブ・パワーでおなじみのオークランドなどを通ってきたので、HLNやTOPをカーステレオでかけたくて仕方がなかった。しかしCDは1枚も無く・・・。サンフランシスコの海沿いを走りながらTOPの軽快な音楽、聞きたかったよぉぉぉ!!!
ひたすら同じ音楽を聞き続けて車を走らせて1時間半。なんの変哲もないごく普通の小さな街であるミル・ヴァレー到着。おそらく日本人観光客なんて、HLNファン以外は来ないな。ハイウェイを降りてからは町の様子をゆっくりと楽しむこともせず、一直線に目的地の「2am Club」へと車を走らせた。
そしてついにHLNファンの聖地のひとつであるこのバーが見えてきた。これを見るだけでもアメリカへ来た甲斐があったってもんよ。店の前に車を止めて、まじまじと見るのはちと恥ずかしかったので、一度店の前を通り過ぎ、角を曲がり、店の裏側へ行ってから車を止めた。もちろん路注。そして店の外観を堪能。渡米前にdar-fishさんのサイトで見た画像と同じ物だった。変わっていなくて一安心。
そして、「こんなおのぼりさんの日本人がバーに入ってもいいのか?」と内心おどおどしながら店の中へと歩いていった。この時、時間はすでに5時近くなっていたので、店の中には常連らしき中年の客が十数人いた。「こんなところで小さくなっていたら、日本人がなめられる!」と思いつつ、胸を張って店内をうろつき、雰囲気を堪能していた。他の客の事をあまり気にしないようにして、店の内装をいろいろとデジカメで撮影しまくり。おのぼりさんだということがバレバレであったが、「旅の恥はかき捨て!」ということで薄暗い店内をフラッシュでばしばしと炊いて店内を撮影していた。
「SPORTS」が発売されてからすでに17年が経過している。しかしジャケットに書いてある雰囲気と今現在の雰囲気はさほど変わっていなかった。ファンとしてはうれしいもんだ。来た甲斐があったってもんよ。
バーに来て何も頼まないでうろうろしているわけにもいかないので、とりあえず飲み物を頼むことになったが、運転手の俺はここに来てももちろん酒は飲めない。仕方なく7UPを頼んでストローで飲みつつ、3人でビリヤードを楽しんだ。
いままで日本でビリヤードを楽しんでいた時は、いつも1時間いくらという形で台を借りていたが、ここにある台は75セント入れると玉が出てくるというものだった。この台は、一度ポケットの落ちた玉は次に金を払う時まで落ちてこない。だが手玉だけはちゃんと戻ってくる。おそらく手玉とそれ以外の玉は重さが違っていて、重さによって手玉だけが戻ってくるような仕組みになっていると思われる。面白いねぇ。
この店は、トイレがなかなか興味深かった。なんと男子トイレにはコンドームの自販機(1個=1ドル)が壁に付いていたりする。日本じゃ見かけたことがない。日本と比べて性に開放的だよなぁ。ちなみに女子トイレには「SPORTS」の色見本シートがあったそうだ。撮影したかったがさすがに俺が入るわけにはいかないので、つるさんにデジカメを渡して撮ってきてもらった。
店内にはバーカウンターやビリヤード台の他に、ジュークボックスにピンボールにTVゲームもあった。「おお!これぞアメリカのバー!!」って感じがしたねぇ。さすがにジュークボックスにはHLNが入っているだろうと思っていたが、何も無し。せめて「SPORTS」くらいは残しておいて欲しかったが・・・。TVゲームは「ミス・パックマン」。こっちは'80年代前半の雰囲気を残しているってのになんでだよ!
もしも俺が英語が話せたならば、店員もしくは常連客に「このバーとHLNについて」を聞きたかったのだが、英語コンプレックスを持っているだけにそんなことはできるわけがない。バーテンのお姉ちゃんに「7UP.」と言った以外は全く話さず。つるさんは人の良さそうなおじいさんに「...Jail...」とやたらに話しかけられていた。後でつるさんにその時の話を聞いてみると、どうやらそのおじいさんは「未成年がビールなんて飲んでいると牢屋に入れられちゃうぞ〜。」と言っていたらしい。日本人は年齢より若く見られがちということを聞いていたが、俺よりも年上のつるさんがそう見られるとは・・・。
「SPORTS」の雰囲気を満喫し終わった我々は、次の目的地であるゴールデンゲートブリッジへ。ミル・ヴァレーからはさほど時間もかからずにたどり着くことができた。橋の直前まではほとんど渋滞も無かったのだ。
サンフランシスコの代名詞のひとつであるこの橋、渡っている間は「こんなもんか?」と思った。なんの変哲もないただ大きい橋だから。でも橋を渡りきったところにある公園から見てみたら、見栄えがしていてかなりのものだった。
で、その公園での出来事だが、売店に売っていたホットドッグが気になって仕方がなかった。アメリカの代表的な料理のひとつであるホットドッグ。これもぜひ食べてみたいと思っていたのだよ。でも、腹が減っていたわけではないので、無理してまで食べること無いと思ってここでは食べなかった。まだ数日アメリカに滞在しているから、チャンスはあると思ったのだ。他にこの公園で気になった事といえば、なぜか太極拳をしている20代後半(に見える)の若者と、「お土産屋 GIFUTO SHOPPU」という日本語だか英語だかよくわからない看板の店だ。この店でいろいろな土産を探すも、やはり決め手に欠けたので何も買わず。
今回、あまり時間がなかったのでフォートポントという坂の真下に行かなかったのが悔やまれる。ヒッチコックの「めまい」やメル・ブルックスの「新サイコ」な気分を味わってみたかったんだが。あと、「ベストヒットUSA」のスペシャル番組で小林克也とヒューイ・ルイスが話していた海岸が見たかった・・・。
再び車を走らせて、次の目的地のサンフランシスコ市内へ向かう。最初に行ったのは、昨日のケーブルカーからも見えた「世界一曲がりくねった道」のロンバードストリートである。この坂は上から下へ降りる一方通行になっていて、その入り口へたどり着くので一苦労あった。我らと同じく、車で降りよう考えている乗用車が入り口までの数百メートル並んでいたのだ。この入り口までの坂がまたすごい急勾配。マニュアル車だったら絶対に後ろへ下がってしまって事故るくらいすごい。今回借りたレンタカーはATだったのでそんなに苦ではなかったが、やっぱり発進には大変神経を使った。坂を上がりきって落ち着いた頃、耳をすませてみると、後ろからホイルスピンの音が絶えず聞こえていた。俺も上がりきるまでに1回ホイルスピンさせてしまった。この時俺は思った。「こんなところに住もうという人間はどこかおかしい!」俺なら住まないよ。
やっとのことで入り口までたどり着き、いざ本番。アジサイが咲き誇っているロンバードストリートのうねうね道へ。ここでもさっきの坂道発進のところと同じく、「やはりこんなところに住もうと思っている人間はおかしい!しかもガレージまで付いているってどういうことだよ!?」と思いつつ坂を下って行った。入る前はお2人に「大丈夫?」なんて聞かれていたけど、走ってみたら大したこと無かった。教習所のクランクより楽だったような・・・。ゆっくりと景色を見る間もなく、あっと言う間にうねうね道から脱出。俺にとってのロンバードストリートは、本番より進入待ちの坂道発進のほうが印象深かった。
続いては車をフィッシャーマンズワーフの近くの有料駐車場に停めて、ジラデリへと歩いていった。
ジラデリにたどり着く直前、昨日探し回ったあげく見つからなかったジュエルミュージアムを発見。どうやら昨日見ていた地図が間違っていたようであった。せっかく見つけたミュージアムだったが、なんと今日はお休み。昨日から「買い物ができなくてストレスがたまる!」と言っていたつるさんはかなり悔しがっていた。この店の前にはなぜか大量の1セント玉が落ちていた。もったいないと思って1枚拾ってみたら、ジュースだかなにかでベトベトだった。結局そのままにしてジラデリへ。
俺は良く知らないのだが、つるさんによると、ここのチョコはサンフランシスコではかなり有名らしい。チョコ販売が本業らしいが、レストランもかなりの人気のようで。入り口前には行列ができていた。我ら3人はその行列をかき分け、チョコ売場へと入っていった。
店内はうまそうなチョコの香りでいっぱいであった。さほど空腹でなかった俺だが、思わず手当たり次第に置いてあるチョコを食ってやりたくなったくらいだ。ここで俺ははじめて土産を購入。実家やTOMのためにチョコを買い、あとは俺用にも小さいのを少し。ここでの買い物にはTCを使用。使えるときに使っておかないとね。
外に出てからは、広場にいたストリートパフォーマーの音楽(サックス)に耳を傾けていた。俺の心を揺さぶる音楽ではなくそんなにいいとは思わなかったが、父からはサンフランシスコのジャズCDを買ってきてくれと頼まれていた事を思い出し、とりあえずお土産用に2枚CD(2枚で28ドル)を買ってみた。これで一通りの土産ノルマ完了である。
駐車場に戻る途中、ホットドッグのいい香りがしてきたので買って食べてみたかったが、この後によっちゃんさんが「行ってみたい」と言うダウンタウンのベトナム料理屋へ行くことになっていたので我慢。「まだ先があるからね・・・」と自分に言い聞かせていた。
フィッシャーマンズ・ワーフから車を走らせること約20分、ベトナム料理店があるダウンタウンに到着。ウィンドウが並ぶメインストリートに車を止めようということにしたが、土曜日ということもあり、なかなかスペースが見つからない。やっと見つけたと思った場所もバスの停留所だったり消火栓の前だったりしてとめられず。
15分くらいひたすらダウンタウンをグルグルと回っていたが、結局駐車スペースが見つからなかったので、店から歩いて5分ほどのところにあった有料駐車場に車を止めた。この有料駐車場ってのは小さなスーパーの駐車場で、「客じゃない車は集金ボックスに金入れておけ」というタイプのものだった。警備員がいるわけではないので金を払わないでも駐車できることはできるが、食べ終わって帰ってきたら車が無くなっていたなんていうバカげた事になっていては困るので、きちんと金を払っておいた。
車の外は寒く、昼間のあの暑さが嘘のようだった。お2人は上着を着ていたが俺はポロシャツ。吹いてくる風が肌身にしみたねぇ。というわけで5分ほど歩いてベトナム料理店到着。店の中を見回すと、半分くらいはアジア系の客であった。やっぱり中華料理ほどメジャーじゃないのね。
ここで何を頼んだかというと、お2人は麺類、そして俺は「ディナーB」。今度発売されるHLNのニューアルバム「PLAN B」にちなんでみた・・・というのは嘘。値段も手頃(10ドル)で量もあったのでこれを頼んでみたのである。この他、春巻き2種類と、飲み物を頼んだ。酒好きのつるさんはドイツビール(なぜだ!?)、俺とよっちゃんさんはジャスミンティーである。自分が運転手じゃなければ、ベトナムのビール「333」を頼んでみたかったんだけどなぁ。
出てきた料理は満足いく物だった。きっと料理記者歴30年の岸朝子が食べても「大変おいしゅうございました。」と言うに違いない。食べる前は「ベトナム料理って辛いだろうから、味覚がお子ちゃまな俺は満足できないんじゃないか?」と心配していたが、そんなことはなかった。適度な辛さで全く問題なし。うまいものを満足いくまで食べられて(腹9分目)幸せであった。
店を出るとやはり風が冷たかった。そこで足早に車に戻り、フレモントのF本夫妻宅へと車を走らせた。
途中、サンフランシスコの日本人街を通過。右手にはHLNファンにはおなじみの「THE MIYAKO HOTEL」が。運転しながら「おおおおおおお!!!!」と声をあげてしまった。「ってことは、KABUKI THEATERも!?」と思っていると、それも見えてきた。暗くてよく見えなかったとはいえ、あのビデオの撮影されたそばを通れただけで幸せ・・・。
2時間弱でやっとF本夫妻宅到着。助手席に座っているよっちゃんさんはずっとナビ役をしてくれていたが、後部座席に座っていたつるさんはすっかり寝ていた。まあ、このいっぱいいっぱいのスケジュールじゃ寝たくもなるよなぁ。運転する俺は眠気もさほど無いが、一番つらかったのはナビ役のよっちゃんさんだと思う。いろいろとありがとうございます・・・。ちなみに今日はベトナム料理店でちゃんとトイレに行って来たので、昨日のような思いはせずに済んだ。(後略)